PR(パブリックリレーションズ)を核にしたマーケティング支援を手がけるマテリアルグループ(証券コード156A)について、2026年7月14日発表の2026年8月期第3四半期決算短信・決算説明資料、2026年4月提出の半期報告書(2026年8月期中間期)、および2025年11月提出の2025年8月期有価証券報告書をもとに、ファンダメンタルズ(企業の実力を示す基礎的な情報)を初心者向けに解説します。
1. 企業概要
マテリアルグループは、PR発想(ストーリーテリング)をコアに、企業のブランド成長を支援するマーケティングコミュニケーション企業を束ねる持株会社です。
2005年2月に有限会社マテリアル(現・株式会社マテリアル)が設立されたのが事業の起点で、テレビPRの専業会社として出発しました。
2014年8月に持株会社を設立し、2015年11月に現在の商号になりました。
2019年2月には、株式会社アドバンテッジパートナーズが運用を受託するファンド(戦略PR投資事業有限責任組合)が創業者の保有株式を取得し、青﨑曹氏が代表取締役CEOに就任しています。
2024年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
決算期は8月で、本社は東京都港区赤坂です。
ビジョンは「Switch to Red.」(個性に情熱を灯し、価値観や常識を変え、世界を熱くする)で、中長期の目標として「PR発想をコアとしてマーケティング業界の第4極になる」を掲げています。
なお、PRとは、企業や団体が社会や人々と良好な関係を築くための活動を指します。
テレビ番組への露出、イベント、SNSキャンペーンなど、広告を買うのではなく「話題にしてもらう」施策が中心です。
事業は、次の3つの報告セグメントで構成されています。
- PRコンサルティング事業(コア事業)
中核子会社の株式会社マテリアルのほか、株式会社ルームズ、キャンドルウィック株式会社が属します。
主に国内の大手企業を顧客とし、PRの専門人材(PRパーソン)がプロジェクトごとにチームを組んで、戦略設計から施策の実行まで支援します。
収益は、プロジェクトの成果物を納品した時点で計上する「スポット契約」が中心で、月額固定のリテナー型契約も一部にあります。
取引には、広告代理店を通す取引と、顧客と直接契約する取引があります。 - デジタルマーケティング事業(準コア事業)
株式会社マテリアルデジタルと、2025年8月に子会社化した株式会社Bridgeが属します。
デジタル広告の運用支援、広告クリエイティブの制作、Web接客ツール「Flipdesk」の提供などを行います。
広告運用は、広告の配信額に一定の割合を掛けた金額が売上になる仕組みです。 - PRプラットフォーム事業(育成事業)
主に中小・スタートアップ企業向けに、プラットフォームを活用した採用・販促・広報の支援を行います。
2025年9月に子会社化した株式会社トレプロ(TikTokを活用した採用支援「TREND PRODUCE」)、TikTok Shopなどを支援する株式会社マテリアルリンクス、広報プラットフォーム「CLOUD PRESS ROOM」を運営する株式会社CONNECTED MATERIALなどが属します。
2026年8月期の会社予想における連結売上高の構成比は、PRコンサルティング事業が69.6%、デジタルマーケティング事業が14.8%、PRプラットフォーム事業が15.6%です。
2025年8月期は、PRコンサルティング事業が84.6%、デジタルマーケティング事業が11.1%、PRプラットフォーム事業が4.3%でしたので、M&Aによって事業の構成が急速に変わりつつあります。
同社が挙げる強みは、次の3点です。
- グローバル水準のプランニング力
PR発想に基づいて、情報がどのように広まるかを設計する専門部署(プランナー)を持っています。 - 強い採用力
認知度の高まりにより、新卒・中途ともに応募者が増えているとされています。 - 連続的なM&Aの実行力
M&Aの専門チームが、案件の発掘から買収後の統合(PMI)までを一貫して行い、間接部門を持株会社に集約することでコスト削減とガバナンスの強化を図る方針です。
決算説明資料では、6期で9件のM&A実績があると説明されています。
主要な取引先として、株式会社博報堂DYホールディングスとその連結子会社(博報堂DYグループ)が、売上高の14.5%(2025年8月期)を占めています。
2025年8月末の連結従業員数は347名(臨時雇用者を除く)でした。
IR情報は同社公式サイト(https://materialgroup.jp/ir/)で公開されています。
2. 業績・財務情報
業績の推移(連結)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | EPS | 自己資本比率 | ROE |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年8月期 | 41.78億円 | 4.2億円 | 3.98億円 | 2.08億円 | 24.12円 | 35.3% | 25.9% |
| 2023年8月期 | 46.56億円 | 7.1億円 | 6.95億円 | 4.38億円 | 44.56円 | 54.2% | 36.1% |
| 2024年8月期 | 52.82億円 | 8.11億円 | 7.64億円 | 7.10億円 | 73.10円 | 62.1% | 41.1% |
| 2025年8月期 | 62.88億円 | 8.33億円 | 7.54億円 | 4.69億円 | 48.32円 | 55.4% | 22.4% |
| 2026年8月期 第3四半期累計(9〜5月) | 66.63億円 | 10.31億円 | 9.92億円 | 5.90億円 | 61.84円 | 36.1% | ― |
| 2026年8月期(会社予想) | 89.64億円 | 11.50億円 | 10.37億円 | 6.12億円 | 63.55円 | ― | ― |
※2022年8月期〜2025年8月期は有価証券報告書の連結経営指標(2025年8月期)で、2022年8月期と2023年8月期の営業利益は決算説明資料のグラフ(億円、小数第1位)の数値です。
※2026年8月期の第3四半期累計と会社予想は、決算短信の数値です。
※ROE(自己資本利益率)は、株主が出した資金でどれだけ効率よく利益を稼いだかを示す指標です。
2025年8月期は、売上高62.88億円(前期比19.1%増)と増収でしたが、営業利益は8.33億円(同2.7%増)と横ばいに近く、当期純利益は4.69億円(同33.9%減)と減益でした。
営業利益の伸びが小さかったのは、PRパーソンの積極採用による人件費と、人員増に伴う各種費用、新規事業の立ち上げ費用が増えたためです。
経常利益も、子会社株式の取得関連費用などで営業外費用が0.86億円(前期0.50億円)に増えたため、前期比1.3%減となりました。
純利益の大幅減益は、前期に特別利益(0.59億円)と法人税等調整額の戻り(約0.76億円のプラス)があったことの反動が主因です。
本業の利益が急に悪化したわけではありませんが、増収に比べて利益が伸びなかった年だったといえます。
2026年8月期は、第3四半期累計(2025年9月〜2026年5月)で、売上高66.63億円(前年同期比41.5%増)、営業利益10.31億円(同55.9%増)、経常利益9.92億円(同49.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5.90億円(同42.9%増)と、大幅な増収増益です。
会社が重視する管理会計上の「粗利」(案件の売上から外注費を差し引いた金額)は45.51億円(同38.8%増)でした。
のれん償却前営業利益(営業利益にのれん償却費を足したもの)は11.60億円(同65.3%増)です。
伸びの背景には、M&Aの効果があります。
決算短信によれば、2025年8月に子会社化したBridgeと、2025年9月末に子会社化したトレプロが連結に加わり、デジタルマーケティング事業とPRプラットフォーム事業の規模が大きく拡大しました。
そのため、売上高の伸びには、既存事業の成長(オーガニック成長)とM&Aによる増加の両方が含まれます。
決算説明資料では、コア事業であるPRコンサルティング事業だけを取り出すと、売上高は前年同期比17.8%増、セグメント利益は同21.3%増でした。
利益率をみると、売上総利益率は59.3%(前年同期61.2%)と低下した一方、営業利益率は15.5%(同14.0%)に改善しました。
売上総利益率の低下の要因は個別には開示されていませんが、M&Aによる売上構成の変化が影響している可能性があります。
販売費及び一般管理費は29.18億円(同31.4%増)で、売上高の伸びを下回ったため、営業利益率が上がりました。
セグメント別の業績(2026年8月期 第3四半期累計)
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 | 利益率 | 通期予想に対する売上高の進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PRコンサルティング事業 | 47.44億円 | +17.8% | 10.96億円 | +21.3% | 23.1% | 76.1% |
| デジタルマーケティング事業 | 11.17億円 | +115.8% | 2.02億円 | +71.6% | 18.1% | 84.2% |
| PRプラットフォーム事業 | 9.08億円 | +320.0% | 1.85億円 | +265.2% | 20.4% | 64.8% |
| 全社費用・消去(調整額) | ― | ― | ▲4.52億円 | ― | ― | ― |
| 連結 | 66.63億円 | +41.5% | 10.31億円 | +55.9% | 15.5% | 74.3% |
※売上高はセグメント間の内部売上高を含みます。
連結は消去後の外部顧客への売上高です。
※通期予想に対する進捗率は、決算説明資料に記載されたセグメント別の数値です。
通期予想に対する進捗率は、営業利益が89.6%、経常利益が95.7%、親会社株主に帰属する当期純利益が96.4%に達しています。
売上高の進捗率(74.3%)と比べて利益の進捗率が高いのは、顧客の決算期が3月に集中する影響で、3月を含む第3四半期(3〜5月)に売上と利益が最も高くなる季節性があるためです。
会社は「通期達成に障害はない」としていますが、PRプラットフォーム事業は供給制約などで計画比の進捗が遅れています(売上高の進捗率64.8%)。
会社は、下期に競争環境の変化への対応を行い、来期以降の成長につなげるとしています。
四半期の推移と季節性
| 四半期 | 売上高 | 粗利 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 2025年8月期 1Q(9〜11月) | 1,639百万円 | 1,086百万円 | 242百万円 |
| 2025年8月期 2Q(12〜2月) | 1,390百万円 | 1,018百万円 | 146百万円 |
| 2025年8月期 3Q(3〜5月) | 1,679百万円 | 1,175百万円 | 273百万円 |
| 2025年8月期 4Q(6〜8月) | 1,580百万円 | 1,105百万円 | 171百万円 |
| 2026年8月期 1Q(9〜11月) | 2,170百万円 | 1,483百万円 | 349百万円 |
| 2026年8月期 2Q(12〜2月) | 2,230百万円 | 1,516百万円 | 358百万円 |
| 2026年8月期 3Q(3〜5月) | 2,261百万円 | 1,549百万円 | 319百万円 |
※出典は決算説明資料の四半期推移です。
第3四半期(3〜5月)単独では、売上高が前年同期比34.7%増、粗利が同31.9%増でしたが、営業利益は同17.1%増にとどまりました。
累計の増益率(+55.9%)と比べて、直近の四半期は利益の伸びが鈍っています。
2026年4月に46名の新卒が入社し、人件費が先行して増えたことなどが影響したとみられます。
会社は、PRパーソン1人あたりの粗利は前期比で改善する見込みとしています。
通期予想を据え置いたまま、残りの第4四半期(6〜8月)に必要な利益は小さくなっています。
通期予想から第3四半期累計を差し引くと、第4四半期の営業利益は約1.19億円、経常利益は約0.45億円、純利益は約0.22億円です。
前年第4四半期の営業利益(1.71億円)を下回る水準で、会社が予想を保守的に据え置いている可能性があります。
会社は、下期もAIへの投資を続けるほか、PRプラットフォーム事業で広告宣伝費を一時的に抑えて供給体制とサービスプランを見直すため、同事業の粗利の成長が下期に一時的に鈍化するとしており、通期予想は修正していません。
KPI(重要業績評価指標)
| 指標 | 数値(2026年8月期 第3四半期累計) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| PRパーソン数(株式会社マテリアル、期中平均) | 204人 | +15.4% |
| PRパーソン1人あたり粗利(月額) | 139.5万円 | +1.9% |
| デジタルマーケティング事業の顧客数 | 421社 | +11.7% |
| デジタルマーケティング事業の顧客単価(年換算) | 250.5万円 | +115.5% |
PRコンサルティング事業の成長は、PRパーソンの増員が牽引しており、1人あたりの粗利はほぼ横ばいです。
中途採用は、通期の計画26名に対して2026年7月までに29名が入社する予定です。
デジタルマーケティング事業は、Bridgeの参画でデジタル広告運用の顧客が増え、顧客単価が2倍以上になりました。
財務指標とキャッシュフロー
2026年5月末の総資産は64.55億円で、2025年8月末の38.96億円から25.58億円増えました。
自己資本比率(返済不要の自己資本が総資産に占める割合)は36.1%で、2025年8月末の55.4%から大きく低下しました。
主な要因は、トレプロの取得(取得原価18.9億円)に伴う借入金とのれんの増加です。
有利子負債は、2025年8月末の2.28億円から、21.93億円(短期借入金5.30億円、1年内返済予定の長期借入金3.86億円、長期借入金12.78億円)に増えました。
トレプロの取得資金として、みずほ銀行とりそな銀行から各9.45億円(合計18.9億円)を借り入れており、返済期限は2030年9月、元本均等返済です。
金利は変動金利のため、金利が上がると利息負担が増えます。
第3四半期累計の支払利息は0.17億円で、前年同期(0.02億円)から増えています。
現金及び預金は14.37億円で、差し引きの実質的な有利子負債(ネットデット)は約7.6億円です。
この借入契約には、財務制限条項(財務面の一定の基準を下回ると、期限前返済を求められる可能性がある条件)が付いています。
主な内容は、連結の純資産を前年同期比75%以上に維持すること、経常損益を2期連続で損失としないこと、および現預金残高を10億円以上(みずほ銀行分)または連結のDSCR(元利金返済余裕度)を1.1倍以上(りそな銀行分)に維持することです。
2026年5月末の現預金は14.37億円で、現時点では基準を上回っています。
のれんは16.88億円(2025年8月末は7.54億円)に増え、総資産の約26%、自己資本(23.32億円)の約72%に相当します。
のれんは、買収先の将来の収益力に対して支払った上乗せ分で、収益が想定を下回ると減損損失(資産価値の切り下げ)として一括で費用になるリスクがあります。
のれんの償却費は第3四半期累計で1.29億円(前年同期0.40億円)で、通期の見込みは1.75億円です。
また、繰延税金資産(将来の税金の負担を軽くする資産)が2.21億円から7.96億円へ増えています。
決算短信は、のれんと繰延税金資産の増加をトレプロの株式取得に関連して説明していますが、繰延税金資産の内訳の詳細は開示していません。
キャッシュフローは、四半期決算では作成されないため、最新の中間期(2025年9月〜2026年2月)で見ると、営業活動によるキャッシュフローが3.41億円のプラスでした。
投資活動は、子会社株式の取得(トレプロ)などで16.55億円のマイナスです。
財務活動は、長期借入れ18.90億円、配当金の支払2.50億円、自己株式の取得2.49億円、長期借入金の返済2.44億円などで13.61億円のプラスでした。
2025年8月期は、営業活動が6.94億円のプラス(純利益の約1.5倍)、投資活動が0.58億円のマイナス、財務活動が4.97億円のマイナス(配当金2.44億円、長期借入金の返済2.31億円など)でした。
3. 成長戦略・将来性
同社は、2025年10月14日に、2026年8月期から2028年8月期の中期経営計画を発表しています。
数値目標は、次のとおりです(新たなM&Aを含まない計画)。
| 項目 | 2025年8月期(実績) | 2028年8月期(計画) | 年平均成長率(CAGR) |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 63億円 | 125億円 | 25% |
| 連結営業利益 | 8.3億円 | 21.7億円 | 37% |
| 連結のれん償却前営業利益 | 8.9億円 | 23.4億円 | 38% |
営業利益率で見ると、2025年8月期の約13%から、2028年8月期の計画では約17%への改善が想定されています。
2026年8月期の会社予想(売上高89.6億円、営業利益11.5億円)は、この計画の初年度にあたり、すでにM&Aによる上乗せ分を含んでいます。
この計画は、計画の発表時点までにグループに加わったBridgeとトレプロを含み、新たなM&Aは含みません。
そのため、計画達成の難易度は、買収した事業を含む既存事業の伸びで判断することになります。
中期経営計画の事業戦略は、次の4つです。
- 組織拡大の継続(採用の加速)
PRコンサルティング事業とデジタルマーケティング事業で、価値提供の源泉であるプロ人材の採用と育成を進めます。
2026年4月には過去最大となる46名の新卒が入社しました。 - AI活用による生産性向上
AIエージェントの活用などで、PRパーソンやデジタルマーケターの生産性を大きく改善する方針です。
会社は、AIは「PC業務」(比較的工数を占める業務)を代替する一方で、経験に基づく判断力や、メディア・顧客との人間関係、イベントの実行力といった付加価値の源泉は代替しにくいとしています。
社内にAI業務基盤の開発専任チームを置いています。 - TikTok活用によるPRプラットフォーム事業の成長
トレプロとマテリアルリンクスを中心に、TikTokを使った採用支援やTikTok Shopの販促支援を拡大します。 - 東南アジアへの進出
東南アジアでの自社拠点の立ち上げや、現地のPRエージェンシーとの提携・M&Aを検討しています。
財務・M&A戦略としては、3年間で60億〜100億円のM&A投資を検討するとしています。
2025年9月に子会社化したトレプロは、取得原価18.9億円でした。
デジタルマーケティング事業のBridgeは、2025年8月に51%を取得し(取得原価2.3億円)、将来は残りの49%も取得して完全子会社とする予定です。
その際は、非支配株主に売却を請求する権利(プット・オプション)と、会社側が買い取る権利(コール・オプション)が設定されているため、将来の追加の資金負担が見込まれます。
決算説明資料では、「引き続き、M&Aの検討は積極的に実施中」とされています。
このほか、2026年8月期の有価証券報告書から、日本基準に代えてIFRS(国際会計基準)を任意適用することが決議されています。
IFRSでは、のれんを償却しなくなるため、営業利益や当期純利益が増える一方、リース契約に伴う使用権資産とリース負債が貸借対照表に載るようになります。
のれんの償却費(2026年8月期の通期見込み1.75億円)が費用にならなくなる分だけ、日本基準との見かけの利益に差が出ます。
なお、2026年8月期の決算短信は日本基準で開示され、2027年8月期の業績予想は日本基準とIFRSの両方で開示される予定です。
新サービスとしては、Bridgeの検索エンジン最適化(SEO)の知見と、独自のLLMO計測ツールを組み合わせた「LLMOコンサルティング」を開始しました。
LLMOとは、ChatGPTなどの生成AIが回答する際に、自社のブランドが取り上げられやすくなるように設計する取り組みです。
設備投資は2025年8月期で0.52億円と小さく、有価証券報告書上の研究開発費はありません。
今後の成長を左右するポイント
今後の成長を左右するポイントとして、次の3点が考えられます。
- PRパーソンの増員と生産性の両立
新卒46名が戦力化するまでは人件費が先行し、営業利益率を押し下げる要因になります。
1人あたり粗利が横ばい圏にとどまるなか、AIによる生産性の改善が実現するかが、中期計画の営業利益率の改善を左右します。 - M&A後の統合と、のれん・借入の負担
トレプロを含むPRプラットフォーム事業は、規模が拡大した一方で、供給制約や競争環境の変化により計画比の進捗が遅れています。
中期計画は新たなM&Aを含まないため、追加のM&Aがあれば、成長の上振れと財務の負担の両方が増えます。 - 顧客の広告予算の動向
有価証券報告書のリスク項目でも、企業のマーケティング予算は景気の影響を受けやすいことが挙げられています。
顧客の決算期が3月に集中し、第3四半期に業績が偏るため、その時期に事業を阻害する要因が発生した場合の影響が大きくなります。
4. 株主還元
同社は配当政策として、連結配当性向33%を目安に、累進配当(原則として減配せず、配当の維持もしくは増配を行う方針)を掲げています。
株価水準や資金余力に応じて、自己株式取得も検討する方針です。
| 決算期 | 1株あたり配当金 | 配当性向 | 総還元性向(自己株式取得を含む) |
|---|---|---|---|
| 2024年8月期(実績) | 25.06円 | 34.4% | 59.4%(自己株式取得1.8億円を含む) |
| 2025年8月期(実績) | 26.00円 | 53.4% | 94.0%(自己株式取得1.9億円を含む) |
| 2026年8月期(会社予想) | 26.10円 | 41.1% | 81.2%(自己株式取得2.4億円を含む) |
※出典は決算説明資料です。
※配当性向とは、稼いだ純利益のうち配当に回した割合を示す指標です。
総還元性向は、配当と自己株式取得の合計が純利益に占める割合です。
2026年8月期の配当予想は、期末配当のみで26.10円(前期比+0.10円)で、2026年7月の決算発表でも変更はありません。
配当性向は約41%と、目安の33%を上回る水準です。
2025年8月期は、純利益が減った一方で配当を増やしたため、配当性向が53.4%に上がりました。
累進配当の方針により、減益の年でも配当が増えていることが確認できます。
1株あたり配当金は、増配幅は小さいものの、2期連続で前期を上回る水準です。
自己株式取得は、2025年11月19日の取締役会決議に基づき、2026年1月31日までに30万株(取得額約2.46億円、平均取得単価は約820円)を取得して終了しました。
2026年5月末の自己株式は427,599株(発行済株式総数の約4.3%)です。
なお、2025年12月23日には、取締役などへの譲渡制限付株式報酬として、自己株式102,174株を処分しています。
つまり、取得した自己株式の一部は、役職員向けの報酬に充てられています。
決算短信・決算説明資料では、この2025年11月決議分以降の新たな取得枠には触れられていません。
総還元性向が高い水準にある一方で、2026年8月期は、M&Aのための借入が増え、自己資本比率も低下しています。
今後も同じ水準の還元を続けながら、M&Aと成長投資を進められるかは、注視が必要な点です。
5. ガバナンス・リスク
ガバナンス
同社は監査等委員会設置会社(取締役会での議決権を持つ監査等委員が、取締役の職務執行を監査・監督する形態)で、2022年4月に移行しました。
有価証券報告書の提出時点(2025年11月26日)の取締役会は、代表取締役CEOの青﨑曹氏を議長に、取締役CFOの吉田和樹氏と、社外取締役4名(うち3名が監査等委員)の合計6名です。
社外取締役比率は約67%と高く、役員のうち女性は1名(比率16.7%)です。
2025年8月期の取締役会は17回開催され、取締役の全員が在任中の全回に出席しました。
このほか、子会社の経営者が参加するグループ経営会議(月1回)と、コンプライアンス・リスク管理委員会(半期に1回)を設置しています。
2025年11月27日の定時株主総会には、取締役3名と監査等委員である取締役3名を選任する議案が付議されており、承認されれば取締役6名(うち社外取締役4名)となる予定でした。
半期報告書(2026年2月末まで)では、役員の異動は記載されていません。
大株主と関係の深い社外取締役が含まれている点は、ガバナンス上の留意点です。
社外取締役の喜多慎一郎氏と、監査等委員の市川雄介氏は、アドバンテッジパートナーズから派遣された取締役です。
有価証券報告書では、同社ファンドの持株の売却方針によっては流動性や株価形成に影響し得るとされ、派遣された取締役は将来的には退任する想定と説明されています。
政策保有株式(取引関係の維持などを目的とする持ち合い株式)は、2025年8月末時点で保有していません。
2025年8月期中に、保有していた非上場株式1銘柄(5百万円)を全て売却しています。
主なリスク要因
有価証券報告書に記載された主なリスクと、決算資料から読み取れる留意点は次のとおりです。
- 景気変動(顕在化の可能性は高い)
企業のマーケティング予算は景気の影響を受けやすく、不況期には削られやすい傾向があります。
会社は、様々な業種への取引の拡大でリスクを分散するとしています。 - 人材の採用・育成
PRコンサルティング事業とデジタルマーケティング事業の価値提供の源泉は、専門人材です。
人材獲得競争が激化した場合に、採用と育成が難しくなる可能性があります。
決算説明資料には、離職が若干増加したとの記載があります。 - 季節的変動
顧客の決算期が3月に集中するため、3月を含む第3四半期に売上と営業利益が偏ります。
同時期に事業を阻害する要因が発生した場合、通期の業績への影響が大きくなります。 - M&Aに伴うのれんの減損・借入と財務制限条項
のれんは16.88億円(自己資本の約72%)で、買収先の業績が想定を下回れば、減損損失で利益が大きく減る可能性があります。
また、トレプロ取得のための借入18.9億円には、純資産や現預金残高に関する財務制限条項が付いています。 - 競合・メディアとの関係・レピュテーション
PRコンサルティング事業には新規参入が続き、競争が激化する可能性があります。
また、メディアとの良好な関係を保てなくなった場合や、起用したタレント・インフルエンサーの不適切な発信(いわゆる炎上)があった場合に、サービスの評価が下がる可能性があります。
PRプラットフォーム事業でも、競争環境の変化への対応が課題として挙げられています。 - 主要取引先への依存
博報堂DYグループへの売上が売上高の14.5%(2025年8月期)を占めています。
広告代理店を通す取引の動向が、業績に影響します。 - 株式の希薄化
有価証券報告書の提出時点で、新株予約権による潜在株式は1,204,723株で、発行済株式総数の12.20%に相当しました。
会社は、権利行使された場合に割り当てる株式は市場から取得する方針としており、自己株式を充てることで希薄化を抑える考えです。 - 大株主(アドバンテッジパートナーズのファンド)の動向
同社ファンドが発行済株式の約4割強を保有しており、今後の売却方針によっては、株式の流動性や株価に影響する可能性があります。
6. 株主構成・株価情報
大株主の状況
半期報告書(2026年2月28日現在)に記載された大株主は次のとおりです。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 戦略PR投資事業有限責任組合(アドバンテッジパートナーズ運用のファンド) | 33.08% |
| 10X Investment Ltd.(同社ファンド) | 10.66% |
| 金山 卓真(株式会社トレプロ代表取締役) | 5.03% |
| 野村信託銀行株式会社(投信口) | 3.98% |
| NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN (CASHPB) | 3.11% |
| Retweet and Share Ltd.(同社ファンド) | 2.77% |
| 大和証券株式会社 | 1.77% |
| 青﨑 曹(代表取締役CEO) | 1.41% |
| 吉田 和樹(取締役CFO) | 1.01% |
| JP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ CO | 0.92% |
※持株比率は自己株式を除く発行済株式数に対する割合で、上位10名の合計は63.74%です。
※3つのファンド(戦略PR投資事業有限責任組合、10X Investment Ltd.、Retweet and Share Ltd.)は、有価証券報告書でアドバンテッジパートナーズが運用する「APファンド」と総称されており、合計は約46.5%です。
アドバンテッジパートナーズのファンドが約46.5%を保有する筆頭株主であり、創業経営者のオーナー企業とは性格が異なります。
ファンドは純投資を目的として出資しており、上場時に保有株の大半を売却したものの、上場後も一定の株式を保有しています。
会社は、ファンドから、将来的な売却の時期や手法は未定だが、市場価格への影響を抑える方法で行うと聞いていると説明しています。
ファンドの持株の売却は、株式の需給に影響し得る重要な要因であり、注視する必要があります。
代表取締役CEOの青﨑曹氏の保有比率は1.41%と小さく、経営陣による持株は少ない構成です。
株式に関する情報
発行済株式総数は9,877,197株(うち自己株式434,300株、2026年2月28日現在)、単元株式数は100株、上場市場は東京証券取引所グロース市場です。
2024年3月に上場しています。
株価指標
松井証券の株価情報(2026年9月25日15:30更新時点の表示データ)によると、株価は874円(前日比+2円)、時価総額は約86億円です。
年初来高値は976円(2026年1月30日)、年初来安値は768円(2026年5月21日)です。
指標は、次のとおり会社発表の数値から計算しました。
| 指標 | 数値 | 算定根拠 |
|---|---|---|
| PER(株価収益率、会社予想ベース) | 約13.8倍 | 874円 ÷ 2026年8月期の会社予想EPS 63.55円(本レポートによる計算) |
| PER(参考:実績ベース) | 約18.1倍 | 874円 ÷ 2025年8月期の実績EPS 48.32円(本レポートによる計算) |
| PBR(株価純資産倍率) | 約3.5倍 | 874円 ÷ BPS 246.8円(2026年5月末の自己資本2,332百万円 ÷ 自己株式を除く発行済株式数9,449,598株、本レポートによる計算) |
| 配当利回り(会社予想) | 約2.99% | 年間配当予想26.10円 ÷ 874円(本レポートによる計算) |
| 最低購入代金 | 約8.7万円 | 874円 × 100株 |
※Yahoo!ファイナンス(2026年9月18日時点の表示、株価876円)でも、PERは13.66倍(会社予想EPS 64.12円)、PBRは3.55倍で、ほぼ一致しています。
株価水準の背景と留意点
PERは約14倍、配当利回りは約3%、PBRは約3.5倍です。
会社予想では純利益が前期比30.5%増で、ROEも2025年8月期に22.4%と高い水準でした。
株価水準の背景として、次の3点が考えられます。
- 成長への期待と、それを支える資本効率
決算説明資料によれば、2026年8月期の終了時点で、過去6年間に売上高は4.5倍、営業利益は6.1倍に拡大する見込みです。
配当性向も、目安の33%を上回る水準です。 - M&Aによる財務の変化
自己資本比率が36.1%まで低下し、のれんと借入が増えている点は、株価の上値を抑える要因になり得ます。 - 大株主の売却懸念
アドバンテッジパートナーズのファンドが約46.5%を保有しており、将来の売却が需給に影響するとの見方があり得ます。
同業他社のバリュエーション(株価の割高・割安の度合い)との比較には他データが必要であり、本レポートでは断定を避けます。
株価情報は日々変動するため、最新の数値は証券会社のサイト等でご確認ください。
7. まとめ
マテリアルグループ(156A)は、PR発想を核に、PRコンサルティング、デジタルマーケティング、PRプラットフォームの3事業を展開し、2026年8月期の第3四半期累計で売上高41.5%増、営業利益55.9%増と高い成長を続けています。
通期予想に対する営業利益の進捗率は89.6%、経常利益は95.7%に達し、配当も累進配当の方針のもとで増配(予想26.10円)が続いています。
M&A(Bridge、トレプロ)による事業構成の変化と、2028年8月期に売上高125億円・営業利益21.7億円を目指す中期経営計画が、今後の成長の焦点です。
一方で、注意すべき点もあります。
- 売上高の伸びには、M&Aによる増加が含まれており、コア事業(PRコンサルティング)の増収率は17.8%です。
- 2026年5月末の有利子負債は21.93億円、のれんは16.88億円に増え、自己資本比率は36.1%に低下し、借入契約には財務制限条項が付いています。
- 第3四半期単独の営業利益の伸び(+17.1%)は、累計の伸び(+55.9%)を下回っており、通期予想を据え置いた残りの第4四半期の利益は、前年を下回る水準です。
- PRプラットフォーム事業は、供給制約などにより計画比の進捗が遅れています。
- アドバンテッジパートナーズのファンドが約46.5%を保有しており、将来の売却が需給に影響する可能性があります。
今後は、2026年8月期の通期決算(IFRSの開示を含む)、PRパーソン1人あたり粗利の推移、トレプロ・Bridgeの統合状況とのれんの動向、財務制限条項に対する余裕の推移を中心に見ていく必要があります。