【1382】ホーブ

2026/09/04

企業分析

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北海道上川郡東神楽町(旭川近郊)に本社を置き、自社開発品種のいちご果実の生産・販売を主力とする株式会社ホーブ(証券コード:1382、東証スタンダード市場)について、2026年6月期の決算短信と半期報告書(いずれも一次データ)をもとに、投資初心者の方向けにファンダメンタルズ分析を行いました。


1. 企業概要

事業内容・セグメント構成

ホーブは「いちご果実・青果事業」「種苗事業」「馬鈴薯事業」「運送事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています(決算短信より)。

  • いちご果実・青果事業(売上高の約88%を占める中核事業):業務用いちご果実を主力商品とし、自社開発品種と輸入いちご、国産促成いちご(とちあいか、とちおとめ、紅ほっぺなど)を組み合わせて販売しています。
  • 種苗事業:自社いちご品種「ペチカほのか」(商品名「夏瑞/なつみずき」)と「ペチカエバー」(商品名「コア」)の苗を生産・販売するほか、栽培指導業務の受託や海外向けの栽培技術提供も行っています。
  • 馬鈴薯事業:種馬鈴薯・青果馬鈴薯の生産販売・仕入販売。
  • 運送事業:連結子会社「株式会社エス・ロジスティックス」が関東圏を中心に、自社商品の配送のほか一般荷主からの配送業務受託を行っています。

ビジネスモデル・主要製品

同社の強みは、通常のいちご出荷が少なくなる夏秋期(6〜9月)に収穫できる自社開発品種を持っている点です。「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)は生食用としても展開しており、需要が高まるクリスマス時期(12月)が最需要期となります。主力産地は北海道です。

主要販売先としては、菓子製造大手の株式会社シャトレーゼ(売上高473百万円、全体の約20%)、三井物産流通グループ株式会社(264百万円、約11%)、トーワ物産株式会社(249百万円、約10%)が挙げられており、上位3社で売上高の約42%を占めています(決算短信「主要な顧客ごとの情報」より)。

沿革(外部情報)

決算短信・半期報告書には詳しい沿革の記載がないため、外部の企業情報サイト(FISCO)によれば、同社は1987年6月に設立され、2005年8月に株式を上場しました。現在は東証スタンダード市場に上場しており、本社所在地(北海道上川郡東神楽町)から「日本最北端の上場企業」を自称しています(同社公式サイトより)。連結従業員数は44名(うち単体26名)と小規模な企業です(出典:FISCO企業レポート)。


2. 業績・財務情報

有価証券報告書が未提供のため、決算短信に記載の直近2期分の比較となります。

決算期 2025年6月期 2026年6月期 増減
売上高(千円) 2,412,711 2,372,498 △1.7%
営業利益又は営業損失(千円) 38,066 △22,339 黒字→赤字
経常利益又は経常損失(千円) 39,466 △18,370 黒字→赤字
親会社株主に帰属する当期純利益又は純損失(千円) 24,712 △27,958 黒字→赤字
1株当たり当期純利益又は純損失(円) 32.44 △36.71 黒字→赤字
自己資本利益率(ROE)(%) 3.2 △3.9 悪化
自己資本比率(%) 70.7 62.9 低下

2026年6月期は、売上高が微減にとどまったにもかかわらず、営業損益・経常損益・純損益のすべてが黒字から赤字に転落しました。この背景には、主力のいちご果実・青果事業における天候要因(猛暑・天候不順)が大きく影響しています。

赤字転落の要因

決算短信によれば、主力産地である北海道の夏(6〜8月)の気温が観測史上最高となるなど、長期間にわたり高温の影響を受けました。これにより、①いちご果実の出荷量が急激にピークを迎えて品質が低下し、②出荷ピーク後は大幅に出荷量が減少して8〜9月に十分な販売量を確保できず、③本州側でも残暑の影響で促成いちごの定植が遅れて生育が遅延し、11月〜クリスマス時期にかけて業務用サイズの果実が品薄になるなど、天候不順が生産・出荷の両面で打撃となりました。さらに年明け以降は、原材料価格上昇や消費者の節約志向を背景に大手取引先の取扱数量が減少したほか、市場相場価格が高値で推移する中、事前に販売価格を固定していた取引先向けには利益が圧縮される結果となりました。

セグメント別の状況

セグメント 売上高(千円) 前期比 セグメント利益又は損失(千円) 前期比
いちご果実・青果 2,083,962 △3.3% 106,335 △32.8%
種苗 58,017 +11.3% 24,463 +57.9%
馬鈴薯 75,699 +1.4% △244 黒字→赤字
運送 154,819 +17.3% 18,266 △15.1%

主力のいちご果実・青果事業は減収減益、種苗事業は契約産地の栽培面積拡大や海外向け栽培指導収入により増収増益、馬鈴薯事業は種馬鈴薯産地の高温・干ばつによる減産と仕入コスト上昇の価格転嫁不足により赤字転落、運送事業は人件費・車両減価償却費の増加により減益となりました。

財務健全性・キャッシュフロー

自己資本比率は70.7%から62.9%に低下しましたが、依然として財務的な安全性は高い水準です。決算短信の記載によれば、2026年6月期末時点で有利子負債はありません(実質無借金経営)。

営業活動によるキャッシュ・フローは155百万円のプラス(前期16百万円)と、純損失を計上したにもかかわらず前期を上回りました。これは、仕入債務(買掛金)の増加や売上債権(売掛金)の減少という運転資本の変動によるものであり、損益計算書上の赤字と、実際の資金繰りの改善は別の動きであった点は留意しておくとよいでしょう。現金及び現金同等物の期末残高は405百万円(前期末比99百万円増)です。


3. 成長戦略・将来性

有価証券報告書が未提供のため、中期的な経営目標やKPIについては確認できていません。以下は決算短信「今後の見通し」に基づく内容です。

セグメント別の来期方針

  • いちご果実・青果事業:夏秋期は自社品種「ペチカほのか(夏瑞/なつみずき)」の食味の良さを活かしたギフト向け販売に注力し、利益率向上を図る。冬春期は市場相場動向を踏まえた価格設定で利益確保を重視する方針。売上高22億32百万円を見込む。
  • 種苗事業:自社品種の特長を活かした産地展開に加え、いちごの栽培・育種技術を活かした海外事業を積極展開する方針。売上高70百万円を見込む。
  • 馬鈴薯事業:国内販売権を持つ海外オリジナル品種の販売を中心に、適正な仕入管理で利益率向上を図る。売上高63百万円を見込む。
  • 運送事業:人員拡充と自社配送の効率的運用により収益向上を図る。売上高180百万円を見込む。

2027年6月期の業績予想

会社が公表している次期(2027年6月期)の連結業績予想は、売上高25億45百万円(前期比7.3%増)、営業利益28百万円(前期は22百万円の営業損失)、経常利益28百万円(前期は18百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益18百万円(前期は27百万円の純損失)、EPS24.19円と、黒字への回帰を見込む予想となっています。

ただし、決算短信は「猛暑などの環境変動による作物生産への影響や、原材料価格の高騰、円安による全般的な物価の上昇などにより、引き続き厳しい状況が続くことが予想される」とも述べています。同社の業績は天候という予測困難な外部要因に左右されやすい構造であり、次期予想の黒字転換が計画どおり実現するかどうかは、今後の天候動向にも左右される点に留意が必要です。


4. 株主還元

配当方針

決算短信の記載は以下のとおりです。

決算期 1株当たり配当額(円) 配当性向(連結)(%)
2025年6月期 50.00 154.1
2026年6月期 50.00 △136.2
2027年6月期(予想) 50.00 206.7

同社は、業績が赤字となった2026年6月期も含め、3期連続で1株当たり50円の配当を維持しています。配当性向(その期に稼いだ利益のうち何%を配当に回したかを示す指標)を見ると、2025年6月期は154.1%、2026年6月期は当期が赤字であるため計算上マイナスの△136.2%(=利益がマイナスなのに配当を支払ったことを意味します)、2027年6月期予想は206.7%と、いずれの期も配当額が稼いだ利益を上回る水準になっています。

これは、利益の増減にかかわらず配当額を維持する「安定配当」を重視する方針であることを示す一方、赤字の年にも配当を支払った結果、利益剰余金(内部留保)は2025年6月期末の224百万円から2026年6月期末は158百万円へと約3割減少しました。同社は時価総額数億円規模の小型株であるため、赤字が続く場合には内部留保の目減りが財務的な制約になりうる点は、投資判断をする上で意識しておきたいポイントです。

自己株式・株主優待

自己株式の取得は僅少(期末保有380株、単元未満株式の買取り等とみられる規模)で、大規模な自己株買いは実施していません。外部の株式情報サイト(FISCO)によれば、株主優待制度は設けられていないとされています。


5. ガバナンス・リスク

有価証券報告書が今回提供されていないため、本セクションの情報は限定的です。 半期報告書の「役員の状況」欄には「該当事項はありません」(=期中の役員異動なし)とのみ記載されており、詳細な役員構成・社外取締役比率等は確認できていません。

会計監査

半期報告書によれば、中間連結財務諸表について監査法人ハイビスカスによる期中レビューを受けています。

リスク要因(決算短信の記載から)

半期報告書「事業等のリスク」では、前事業年度の有価証券報告書に記載されたリスクからの重要な変更はないとされていますが、その有価証券報告書自体が今回未提供のため詳細は確認できません。決算短信の記述から読み取れる主なリスクは以下のとおりです。

  • 天候・気候変動リスク:主力のいちご果実・青果事業、馬鈴薯事業ともに、猛暑・干ばつ・天候不順による生産量減少・品質低下の影響を大きく受けています。2026年6月期の赤字転落の直接的な要因もこれに該当します。
  • 原材料価格・コスト転嫁リスク:市場相場価格が高値で推移する局面で、事前に販売価格を固定契約している取引先向けには価格転嫁ができず、利益が圧縮される構造があります。
  • 特定取引先への売上依存:上位3社(シャトレーゼ、三井物産流通グループ、トーワ物産)で売上高の約42%を占めており、これら取引先の発注動向の影響を受けやすい状況です。

6. 株主構成・株価情報

この項目も有価証券報告書が未提供のため、半期報告書(2025年12月31日時点、本決算より半年前のデータ)の情報を使用しています。

大株主の状況(半期報告書より)

氏名・名称 所有株式数(株) 持株比率(%)
髙橋巖 305,000 40.05
原芳邦 37,500 4.92
髙橋ゆかり 22,000 2.89
酒井直行 17,200 2.26
鈴木直則 16,000 2.10
株式会社北海道銀行 16,000 2.10
楽天証券株式会社 14,900 1.96
株式会社SBI証券 11,900 1.56
ABN AMRO CLEARING BANK(外国法人) 10,700 1.40
山本淳一 9,500 1.25
上位10名合計 460,700 60.49

筆頭株主の髙橋巖氏(本社所在地と同じ東神楽町在住)は発行済株式の40.05%を保有しており、同一住所の髙橋ゆかり氏(2.89%)を合わせると約43%を占める、創業者・経営陣を中心としたオーナー性の強い株主構成となっています。

株式数・単元株

決算短信によれば、期末発行済株式数(自己株式を含む)は762,000株、期末自己株式数は380株、単元株式数は100株です。株式分割の実施状況は今回のデータからは確認できていません。

株価情報

外部の株式情報サイト(松井証券、2026年9月上旬時点)によれば、株価は875円前後、時価総額は約7億円と、東証スタンダード市場の中でも小型の銘柄です。予想PER(会社予想EPS24.19円ベース)は約37倍、配当利回りは約5.7%とされています。PBR(株価純資産倍率)については、外部サイトでは1.52倍と表示されていますが、決算短信記載の2026年6月期末の1株当たり純資産額906.11円をもとに計算すると875円÷906.11円=約0.97倍となり、外部サイトの数値とはやや差異があります(算出時点や使用する純資産額の違いによるものと考えられます)。

いずれにせよ、配当利回り5.7%という高さは、業績が赤字である一方で配当を維持していることと、株価水準が抑えられていることの両方を反映しています。高配当利回りだけを理由に投資判断をするのではなく、業績の実態(今期赤字・来期黒字転換予想)とあわせて確認することが重要です。


7. まとめ

ホーブは、日本最北端の上場企業を自称する北海道の農業関連企業で、夏秋期に収穫できる自社開発いちご品種を武器に、クリスマス需要期を最大の商機とするユニークなビジネスモデルを展開しています。2026年6月期は、主力産地・北海道の記録的猛暑と天候不順により、売上高はほぼ横ばいながら営業損益・純損益ともに赤字に転落しました。会社は次期(2027年6月期)に黒字回帰を見込んでいますが、業績が天候という予測困難な外部要因に左右されやすい事業構造は変わっておらず、赤字の年にも配当を維持したことで内部留保が約3割減少した点も踏まえると、天候リスクと財務体力の両面を注視する必要がある局面です。


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