【157A】グリーンモンスター

2026/09/26

企業分析

t f B! P L

投資初心者向けの「体験型」学習アプリを運営するグリーンモンスター(証券コード157A)について、2026年8月14日発表の2026年6月期決算短信・決算説明資料、2025年9月提出の2025年6月期有価証券報告書、および2026年2月提出の半期報告書(2025年12月末までの中間期)をもとに、ファンダメンタルズ(企業の実力を示す基礎的な情報)を初心者向けに解説します。

1. 企業概要

グリーンモンスターは、2013年7月に設立され、投資や資産形成を「ゲーム感覚」で体験しながら学べるスマートフォンアプリを運営する企業です。
当初はインターネット広告代理を目的として設立され、2014年に株式投資初心者向けの学習アプリをリリースしました。
その後、FXのデモトレードアプリ「FXなび」(2018年)、株式投資のデモトレードアプリ「株たす」(2019年)、積立投資のシミュレーションアプリ「トウシカ」(2020年)などを展開し、2024年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
シリーズ累計のダウンロード数は、2026年6月末時点で1,080万件を超えています。
ミッションは「おかねに対する意識と行動を変える。」
で、決算期は6月です。
2026年6月末の従業員数は、単体35名、連結44名です。

事業は、2026年6月期から次の2つの報告セグメントに区分して開示されています。

  1. 体験型投資学習事業(2026年6月期の売上構成比63.2%)
    FX取引体験型学習アプリ「FXなび」、株取引体験型学習アプリ「株たす」、株&積立投資シミュレーションアプリ「トウシカ」などを運営します。
    ユーザーは無料でアプリを使えます。
    収益は、アプリ内の証券会社・FX会社の比較ページなどを通じて口座開設が行われた場合に、広告会社(アフィリエイト・サービス・プロバイダー、ASP)を介して受け取る成果報酬が中心です。
    アフィリエイトとは、成果に応じて報酬が支払われる広告の仕組みです。
    このため、同社は「投資デビュー支援数(口座開設数)」と「平均報酬単価」を重視しています。
  2. 資産形成支援事業(同36.8%)
    M&Aで取り込んだ子会社が運営する、投資スクールとファイナンシャルプランニングのサービスです。
    株式会社ファイナンシャルインテリジェンスは、投資スクール「投資の学校プレミアム」を運営し、累計15万人が受講しています。
    株式会社FPコンサルティングは、大手企業の労働組合などと顧問契約を結び、従業員向けのセミナーや個別相談を提供する「B2B2E」型のモデルです。
    2026年2月には、投資スクール「Financial Free College」の事業を譲り受けました。
    収益は、受講料や顧問契約料が中心で、受講料は先に入金されて後から売上になるため、入金が売上に先行します。

このほか、報告セグメントに含まれない広告代理業(売上は僅少)があります。
2025年10月には、連結子会社だったブラックモンスター株式会社(2024年11月設立、カベナビJAPAN事業を承継)の株式を株式会社フロンティアファーストに譲渡し、連結の範囲から除外しました。
さらに、新たな成長領域として「金融AI及びブロックチェーン・インフラストラクチャー事業」に着手し、香港に子会社を設立しています。

IR情報は同社公式サイト(https://greenmonster.co.jp/ir/)で公開されています。

2. 業績・財務情報

業績の推移(連結)

決算期 売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益 EPS 自己資本比率 ROE
2023年6月期 17.12億円 ― 1.70億円 1.22億円 49.83円 60.0% 21.0%
2024年6月期 19.57億円 2.31億円 2.31億円 1.56億円 59.33円 79.6% 14.8%
2025年6月期 20.07億円 1.24億円 1.26億円 0.33億円 10.37円 78.5% 2.2%
2026年6月期 19.21億円 ▲2.76億円 ▲2.73億円 ▲3.75億円 ▲118.20円 51.9% ▲30.3%
2027年6月期(会社予想) 23.86億円 ▲3.43億円 ▲3.48億円 ▲4.13億円 ▲127.75円 ― ―

※2023年6月期〜2025年6月期は有価証券報告書と決算説明資料、2026年6月期と2027年6月期予想は決算短信の数値です。
※ROE(自己資本利益率)は、株主が出した資金でどれだけ効率よく利益を稼いだかを示す指標です。

2026年6月期は、売上高19.21億円(前期比4.3%減)、営業損失2.76億円(前期は営業利益1.24億円)、親会社株主に帰属する当期純損失3.75億円(前期は当期純利益0.33億円)と、大幅な赤字に転落しました。
2025年6月期も、売上高は2.5%増でしたが、営業利益は前期比46.5%減、当期純利益は同79.1%減でしたので、2年連続で利益が悪化した形です。
売上総利益は5.70億円(前期比19.7%減)、売上総利益率は29.7%(前期35.4%)に低下しました。
一方、販売費及び一般管理費は8.47億円(同44.4%増)に膨らんでいます。
会社は、その主な理由として、金融AI・ブロックチェーン・インフラストラクチャー事業の立ち上げ、人材の採用・広告・機能拡充などの先行投資、資金調達関連費用(約0.2億円)、およびFinancial Free Collegeの費用の取り込みを挙げています。
EBITDA(営業利益に減価償却費とのれん償却額を足したもの)は、前期の1.73億円の黒字から、2.10億円の赤字になりました。

最終損益は、営業損失に加えて、特別損失0.89億円が響いています。
特別損失は、固定資産の減損損失0.71億円と、ブラックモンスターの株式売却損0.18億円などです。
また、税引前で3.62億円の損失であるのに、法人税等が0.13億円の費用となっており、最終損失は3.75億円と、税引前の損失より大きくなりました。

セグメント別の業績(2026年6月期)

セグメント 売上高 前期比 セグメント利益
体験型投資学習事業 12.13億円 ▲22.9% ▲2.88億円
資産形成支援事業 7.07億円 +63.3% ▲0.07億円

※体験型投資学習事業の売上高は、決算説明資料の数値(報告セグメントの外部顧客への売上高12.01億円に、広告代理業などの「その他」0.13億円を合算したもの)です。
※セグメント利益は報告セグメントの数値で、広告代理業などの「その他」(0.04億円の利益)とセグメント間の調整額(0.14億円の利益)を加えると、連結の営業損失2.76億円になります。

事業の構造は、この1年で大きく変わりました。
かつて売上の大半を占めた体験型投資学習事業は、売上高が2割以上減り、2.88億円のセグメント損失を出しています。
会社によれば、「株たす」は過去最高の売上高を更新しましたが、「FXなび」は、広告市場の変化などの外部環境の影響で、ユーザーの獲得効率が低下しました。
そのため、費用対効果を重視して、FXなびのユーザー獲得を抑える方針をとっています。
一方、M&Aで取り込んだ資産形成支援事業は、売上高が63.3%増と大きく伸び、全体の売上の36.8%を占めるまでになりました。
ただし、セグメント損益はまだ0.07億円の損失で、利益を生む段階には至っていません。

四半期の推移

四半期 売上高 売上総利益率 営業利益
2025年6月期 1Q(7〜9月) 327百万円 17.8% ▲51百万円
2025年6月期 2Q(10〜12月) 466百万円 37.2% 28百万円
2025年6月期 3Q(1〜3月) 614百万円 40.9% 97百万円
2025年6月期 4Q(4〜6月) 599百万円 37.9% 66百万円
2026年6月期 1Q(7〜9月) 516百万円 31.1% ▲13百万円
2026年6月期 2Q(10〜12月) 491百万円 32.8% ▲18百万円
2026年6月期 3Q(1〜3月) 442百万円 24.5% ▲82百万円
2026年6月期 4Q(4〜6月) 470百万円 29.7% ▲162百万円

※出典は決算説明資料のFact Bookです。
四半期の合計は、端数処理により通期と一致しない場合があります。

営業損失は、四半期を追うごとに拡大しています。
第4四半期(4〜6月)の営業損失は1.62億円で、通期の営業損失2.76億円の約6割が、この1四半期に集中しています。
売上高は、前年同期比で21.5%減でしたが、前四半期比では6.3%増と、下げ止まりの兆しはあります。
会社は、資産形成支援事業(前四半期比+18.3%の2.07億円)が伸びていることや、第4四半期単独の営業キャッシュフローが黒字だったことを挙げて、「損益(P/L)以上に財務面は底堅い」と説明しています。

主要KPI(体験型投資学習事業)

指標 2024年6月期 2025年6月期 2026年6月期
投資デビュー支援数(口座開設数) 65,132件 37,753件 約37,600件
平均報酬単価 26,831円 38,323円 約30,700円

※2026年6月期の数値は、決算説明資料の四半期数値から本レポートで算出しました(支援数は合計、平均報酬単価は支援数で加重平均)。

口座開設数は前期並みでしたが、1件あたりの報酬単価が下がり、収益を押し下げました。
2026年6月期の投資デビュー支援数は、前期とほぼ同水準(0.3%減)でした。
平均報酬単価は約20%低下しています(第4四半期は29,342円)。
報酬単価は、広告主やASPとの協議で決まり、アプリ経由の口座開設率や入金率などに左右されるため、獲得効率の低下が単価にも影響している可能性があります。

財務指標とキャッシュフロー

2026年6月末の総資産は20.18億円で、純資産は10.47億円です。
自己資本比率(返済不要の自己資本が総資産に占める割合)は51.9%で、前期末の78.5%から低下しました。
純資産の減少(3.84億円)の大半は、当期純損失によるものです。
1株あたり純資産(BPS)は323.69円です。

現金及び預金は10.91億円で、前期末より0.94億円減りました。
一方、有利子負債は、Financial Free Collegeの事業譲受資金を確保するためとみられる短期借入金3.00億円などが加わり、3.41億円に増えています。
契約負債(顧客から先に受け取ったお金で、今後サービスを提供して売上にする義務)は3.08億円(前期末0.61億円)に増えており、主に資産形成支援事業の前受金の増加とみられます。
現金の一部は、今後の役務提供に対応する前受金であり、自由に使える余裕資金がすべてではない点には注意が必要です。
また、のれん(買収時に支払った上乗せ分)は3.61億円(前期末2.27億円)、繰延税金資産(将来の税金を軽くする資産)は1.45億円(同0.34億円)に増えています。
Financial Free Collegeの事業取得では、取得原価3.00億円に対して、のれん1.96億円と繰延税金資産1.04億円が計上されました。

キャッシュフローは、営業活動が0.45億円のマイナス(前期は0.07億円のマイナス)でした。
経常損失2.73億円に対し、契約負債の増加2.47億円が、営業キャッシュフローの悪化を抑えています。
投資活動は3.30億円のマイナスで、主にFinancial Free Collegeの事業譲受による支出3.00億円です。
財務活動は、短期借入れ3.00億円などで2.80億円のプラスでした。
前期は、営業活動が0.07億円のマイナス、投資活動が2.15億円のマイナス(ファイナンシャルインテリジェンスの取得1.44億円など)、財務活動が0.83億円のマイナス(自己株式の取得0.47億円、配当金0.31億円など)でした。
営業キャッシュフローは2年連続でマイナスで、本業でお金を生み出す力は弱まっています。

3. 成長戦略・将来性

決算説明資料は、2027年6月期以降の取り組みを、次の3つの方向性で整理しています。

  1. 安定収益基盤の強化(資産形成支援事業)
    M&Aによる非連続な成長と、グループ会社間のシナジー(相乗効果)を追求します。
    これまでにFPコンサルティング、ファイナンシャルインテリジェンス、Financial Free Collegeの3社を取り込み、M&Aのノウハウ(対象の選定、デューデリジェンス、買収後の統合)が蓄積されたと説明しています。
    今後は、案件規模の大型化も含めて検討するとしています。
  2. 利益の最大化と効率化(体験型投資学習事業)
    効率的な資本配分により、利益回復とユーザー基盤の最大化を目指します。
    「株たす」は好調で、実践型金融プログラム「株プレ」に関する投資支援システムについて特許を取得しました。
    FXなびは、広告に頼る獲得を抑えたうえで、ユーザー体験の向上を続ける方針です。
  3. 将来の成長エンジンへの投資(金融AI及びブロックチェーン・インフラストラクチャー事業)
    調達資金や利益を原資に積極投資を行い、2028年6月期以降の本格的な収益貢献を想定しています。
    2026年6月期には、香港子会社を設立し、金融AIとブロックチェーン決済領域の技術の調査・検証を行いました。

2027年6月期の会社予想は、売上高23.86億円(前期比24.2%増)、売上総利益9.72億円(同70.5%増)、営業損失3.43億円、当期純損失4.13億円です。
売上高は、資産形成支援事業が12.88億円(同82.2%増)、体験型投資学習事業が10.97億円(同9.6%減)と、資産形成支援事業が売上の約54%を占める計画です。
会社は、新規事業のように収益の不確実性が高いものは売上に見込まず、費用は最大限発生する前提で計画を作ったと説明しています。
つまり、赤字が拡大するのは、金融AI・ブロックチェーン事業と組織体制強化に向けた先行投資を積極化するためです。

2025年9月提出の有価証券報告書では、次のような目標が示されていました。
時価総額100億円の早期実現に向けて、まず2028年6月期に売上高と営業利益の過去最高値の更新を目指し、2031年6月期にはEBITDA15億円、資産形成支援事業の売上高比率約40%、M&Aの累計5社を掲げていました。
しかし、2026年6月期の赤字転落と2027年6月期の赤字予想を踏まえると、これらの目標は今後見直される可能性があります。
決算説明資料でも、「事業計画及び成長可能性に関する事項」の資料を2026年9月頃に更新する予定とされています。

資金調達(第三者割当による新株予約権)

2026年7月15日の取締役会で、第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2026年7月31日に発行しました。
新株予約権とは、あらかじめ決めた価格で株式を買う権利です。
発行の概要は次のとおりです。

項目 内容
割当先 マイルストーン・キャピタル・マネジメント株式会社
新株予約権の総数 6,500個(潜在株式数650,000株)
第7回 1,000個(100,000株)、行使価格1,250円
第8回 2,000個(200,000株)、行使価格2,050円
第9回 3,500個(350,000株)、行使価格2,500円
行使期間 2026年7月31日〜2028年7月30日
資金調達の額 14.14億円(差引手取概算額14.00億円)
希薄化 発行済株式総数の19.61%(議決権ベースで20.12%)

資金使途は、AI・ブロックチェーン・新興インフラ技術への投資、香港拠点の構築・運営、次世代金融教育に向けた新ソリューションの研究開発などです。
注意したいのは、14.14億円は、3つの新株予約権がすべて行使された場合の金額で、発行時点で会社に入るのは発行価額の総額3.51百万円だけです。
現在の株価(後述の769円)は、最も低い行使価格(第7回の1,250円)を下回っているため、資金が実際に入るかどうかは、今後の株価の動きに左右されます。
また、新株予約権が行使されれば、株式の数が約2割増え、1株あたりの価値が薄まる(希薄化する)点にも注意が必要です。

設備投資は、2025年6月期で0.29億円(無形固定資産を含む)と小さく、有価証券報告書上の研究開発費は「該当事項なし」です。

今後の成長を左右するポイント

今後の成長を左右するポイントとして、次の3点が考えられます。

  1. 資産形成支援事業が黒字化し、体験型の赤字を補えるか
    売上は63%増と伸びていますが、セグメント損益は赤字です。
    のれん償却費(2026年6月期は0.50億円)と、買収先の人件費・業務委託費が、利益を圧迫している可能性があります。
  2. 体験型投資学習事業の獲得効率が回復するか
    FXなびは、広告市場の変化で獲得効率が低下しました。
    投資デビュー支援数は前期並みでも、報酬単価が約2割下がっており、単価の回復がカギになります。
  3. 金融AI・ブロックチェーン事業が収益化するか
    2028年6月期以降の収益貢献を想定していますが、会社自身が「収益において不確実性が高い」としており、2027年6月期の計画には収益が織り込まれていません。
    その間の赤字を、手元資金と、新株予約権の行使による資金調達で賄えるかが焦点です。

4. 株主還元

同社は、2027年6月期について、成長投資を優先する観点から無配を予定しています。
配当は、上場後の2024年6月期から実施しており、2025年6月期は1株あたり10円(配当総額0.31億円、連結の配当性向96.4%)でした。
2026年6月期も、赤字にもかかわらず、期末配当を10円(配当総額0.32億円)とし、支払開始日は2026年9月15日です。
配当性向(純利益のうち配当に回した割合)は、純損失のため計算できません。
なお、有価証券報告書では、「配当政策は業績に連動しているため、今後業績が悪化した場合、配当金額を減少する、もしくは配当を実施しない可能性がある」と明記されています。
今回、その懸念が現実になった形です。

自己株式の取得は、2025年6月期に81,900株(取得額0.47億円)を実施しましたが、2026年6月期は取得していません。
2026年6月末の自己株式は81,900株(発行済株式総数の約2.5%)です。
配当と自己株式取得の合計を見ても、2027年6月期は株主還元の予定がなく、配当利回りは0%です。
株主還元より、事業の立て直しと成長投資に資金を振り向ける局面といえます。

5. ガバナンス・リスク

ガバナンス

同社は監査役会設置会社(取締役の職務執行を、独立した監査役が監査する形態)です。
有価証券報告書の提出時点(2025年9月24日)の取締役会は、代表取締役の小川亮氏を議長に、取締役4名(うち社外取締役1名)でした。
2025年9月25日の定時株主総会で取締役は3名(代表取締役の小川亮氏、取締役の藤沢亜理沙氏、社外取締役の軒名彰氏)となり、社外取締役比率は約33%です。
取締役CFOの開原信一氏と、社外取締役の中島真志氏は、この株主総会で退任しました。
監査役は3名全員が社外監査役で、常勤監査役には宮腰哲也氏が就任しています。
2025年6月期の取締役会は16回開催され、取締役4名の全員が全回出席しました。
リスク・コンプライアンス委員会は四半期に1回、経営会議は月2回開催されています。
内部監査は、独立した部門ではなく、他部門を兼務する担当者2名が実施しています。
役員6名のうち女性は1名(比率16.7%)です。
2026年9月29日には定時株主総会が予定されており、役員の顔ぶれは、その結果を確認する必要があります。

政策保有株式(取引関係の維持などを目的とする持ち合い株式)は、非上場株式が1銘柄あるものの、貸借対照表計上額は0円です。

主なリスク要因

有価証券報告書に記載された主なリスクと、決算資料から読み取れる留意点は次のとおりです。

  1. 特定のアプリ・広告主への依存
    2025年6月期の連結売上高に占める「FXなび」の割合は67.5%でした。
    また、FXなびの広告主であるGMOフィナンシャルホールディングスのグループ企業のシェアが、売上高全体の過半を占めるとされています。
    広告主がプロモーションを縮小・停止した場合、または報酬単価の引き下げを求められた場合に、売上が大きく減る可能性があります。
    実際に、2026年6月期は、FXなびの獲得抑制などにより、体験型投資学習事業の売上が22.9%減りました。
  2. ASP(広告会社)への依存
    ASP経由の売上高のうち、上位2社で約94%を占めています。
    ASPや広告主である証券会社・FX会社の方針が変わった場合に、アプリの運営に支障が出る可能性があります。
  3. 為替相場や市場環境の影響
    為替のボラティリティ(価格変動の度合い)が小さいと、FX口座の開設意向が低下することがあります。
    経済環境の悪化で、市場が中長期に縮小した場合にも影響を受けます。
  4. 新規事業(金融AI・ブロックチェーン)の不確実性
    会社自身が、収益の不確実性が高いと認めており、2027年6月期の計画にも収益を見込んでいません。
    香港を含む海外拠点の運営には、新たな法規制への対応も必要になります。
  5. M&Aに伴うのれん・繰延税金資産の減損
    のれんは3.61億円、繰延税金資産は1.45億円あります。
    買収先の収益が想定を下回った場合や、赤字が続いて課税所得の見通しが悪化した場合には、これらを取り崩すことになり、損失が拡大する可能性があります。
    2026年6月期には、すでに減損損失0.71億円を計上しています。
  6. 株式の希薄化と大株主の動向
    2026年7月に発行した新株予約権(潜在株式数650,000株)が全て行使されると、発行済株式総数が約19.6%増えます。
    この新株予約権とは別に、ストック・オプションなどの潜在株式が、2025年6月末で289,600株(当時の発行済株式総数の9.24%)ありました。
    さらに、大株主の構成が大きく変わっており(後述)、持株の売却が需給に影響する可能性があります。
  7. 人材の確保
    従業員数が連結で44名と少なく、優秀なプランナーや開発人材、事業開発人材の確保が課題です。
    2025年9月には、CFOが退任しています。

6. 株主構成・株価情報

大株主の状況

半期報告書(2025年12月31日現在)に記載された大株主は次のとおりです。

株主名 持株比率
Sumo Japan Ventures Segregated Portfolio of Fundviews SPC Ltd. 29.53%
豊田 亜理沙(取締役の藤沢亜理沙氏の戸籍名と同名) 10.12%
小川 亮(代表取締役、資産管理会社の保有分を含む) 6.37%
WMグロース4号投資事業有限責任組合 4.71%
ABN AMRO CLEARING BANK N.V., SINGAPORE BRANCH 4.24%
楽天証券株式会社 3.82%
GMOクリック証券株式会社 3.65%
久保 ひふみ 3.46%
高井 謙行 1.89%
吉弘 和正 1.48%

※持株比率は自己株式を除く発行済株式数に対する割合で、上位10名の合計は69.27%です。

この半年で、大株主の構成が大きく変わりました。
2025年6月末には、代表取締役の小川亮氏が、資産管理会社の保有分を含めて36.70%(1,150,000株)を保有する筆頭株主でした。
2025年12月末時点では、小川氏の保有は6.37%(202,760株)に低下し、代わりに、Sumo Japan Ventures Segregated Portfolio of Fundviews SPC Ltd.が29.53%(939,840株)を保有する筆頭株主となっています。
その経緯は開示されていません。
創業者の持株比率が大きく下がったことと、新たな筆頭株主が登場したことは、今後の経営の意思決定や株式の需給を見るうえで注視すべき点です。
なお、ベンチャーキャピタル系のWMグロース4号投資事業有限責任組合は、2025年6月末の9.57%(300,000株)から、4.71%(150,000株)に半減しています。

株式に関する情報

発行済株式総数は3,314,900株(2026年6月30日現在、うち自己株式81,900株)、単元株式数は100株、上場市場は東京証券取引所グロース市場です。
2026年7月15日時点の発行済株式総数(3,314,900株)に対して、新株予約権による潜在株式が650,000株あります。

株価指標

松井証券の株価情報(2026年9月25日15:30更新時点の表示データ)によると、株価は769円(前日比+20円)、時価総額は約26億円(2026年6月末の発行済株式数3,314,900株(決算短信)ベースの本レポート計算で約25.5億円)です。
年初来高値は2,146円(2026年3月10日)、年初来安値は700円(2026年7月30日)で、現在の株価は年初来高値から約64%低い水準です。
指標は、次のとおり本レポートで計算しました。

指標 数値 算定根拠
PER(株価収益率) 算出不可 2026年6月期の実績EPS ▲118.20円、2027年6月期の会社予想EPS ▲127.75円と、いずれも赤字のため
PBR(株価純資産倍率) 約2.4倍 769円 ÷ BPS 323.69円(2026年6月末の純資産1,046百万円 ÷ 自己株式を除く発行済株式数3,233,000株)
配当利回り(会社予想) 0.00% 2027年6月期は無配予定
最低購入代金 約7.7万円 769円 × 100株

株価水準の背景と留意点

赤字のためPERは算出できず、株価は、資産の裏付けと将来の成長期待の両方で評価されていると考えられます。
株価水準を見るうえでの視点として、次の3点があります。

  1. 手元資金の厚み
    現金及び預金10.91億円は、時価総額(約25.5億円)の約43%にあたります。
    短期借入金などの有利子負債3.41億円を差し引いた約7.5億円が、時価総額の約3割です。
    ただし、前述のとおり、現預金の一部は前受金(契約負債3.08億円)に対応しています。
  2. 赤字の継続と、資金調達への依存
    2027年6月期は当期純損失4.13億円の計画で、手元資金は減っていく見通しです。
    新株予約権の行使価格(1,250円〜2,500円)は現在の株価を大きく上回っており、資金調達が実際に進むかどうかは、株価の回復にかかっています。
  3. 需給の不安定さ
    時価総額が約26億円と小さく、大株主の構成が大きく変わったばかりで、年初来高値から約64%下落しています。
    新株予約権の行使による約2割の希薄化の可能性も、株価の重しになり得ます。

同業他社のバリュエーション(株価の割高・割安の度合い)との比較には他データが必要であり、本レポートでは断定を避けます。
株価情報は日々変動するため、最新の数値は証券会社のサイト等でご確認ください。

7. まとめ

グリーンモンスター(157A)は、株式・FX・積立投資を体験型アプリで学べるサービスを運営し、累計1,080万ダウンロードの実績を持つ企業です。
2026年6月期は、主力の体験型投資学習事業の苦戦により、売上高が4.3%減、営業損失が2.76億円と赤字に転落し、2027年6月期も営業損失3.43億円を見込んでいます。
M&Aで取り込んだ資産形成支援事業が売上を伸ばし(63.3%増)、2027年6月期には売上の約54%を占める計画で、収益構造の転換が進んでいます。
さらに、金融AI・ブロックチェーン事業に着手し、最大約14億円の新株予約権で成長投資の資金を確保しようとしています。

一方で、注意すべき点もあります。

  1. 営業損失は四半期ごとに拡大し、2026年6月期の第4四半期だけで1.62億円の損失を出し、営業キャッシュフローも2年連続でマイナスです。
  2. 主力アプリ「FXなび」への依存が高く(2025年6月期の売上の67.5%)、広告主・ASPの方針や報酬単価の変動の影響を受けやすい構造です。
  3. 新株予約権が全て行使されれば発行済株式が約19.6%増える一方、行使価格は現在の株価を大きく上回っており、資金が入るかどうかは株価次第です。
  4. 創業者の持株比率が36.70%から6.37%に低下し、新たな筆頭株主が現れるなど、大株主の構成が大きく変わっています。
  5. 2027年6月期は無配の予定で、のれん(3.61億円)と繰延税金資産(1.45億円)の減損リスクもあります。

今後は、資産形成支援事業の黒字化、FXなびの単価と獲得効率の推移、2026年9月頃に更新予定の成長計画、新株予約権の行使状況、2026年9月29日の定時株主総会の結果を中心に見ていく必要があります。

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