【1418】インターライフホールディングス

2026/09/11

企業分析

t f B! P L

商業施設やホテルなどの内装工事、音響・照明設備の設計施工を手がけるインターライフホールディングス(証券コード1418)について、2026年2月期有価証券報告書、同年7月提出の臨時報告書、および2027年2月期第1四半期決算短信をもとに、ファンダメンタルズ(企業の実力を示す基礎的な情報)を初心者向けに解説します。

1. 企業概要

インターライフホールディングスは、商業施設・ホテル・オフィスなどの内装工事と、施設演出のための音響・照明設備の設計施工を主力事業とする持株会社です。連結子会社は、内装工事事業を担う株式会社日商インターライフと、音響・照明設備事業を担う株式会社システムエンジニアリング・株式会社サンケンシステムの3社で、グループ全体で4社体制を構成しています。経営理念には「私たちは、あらゆる人々に感動と喜び溢れる快適空間を提供し、社会に貢献いたします」を掲げ、「快適空間をプロデュースする最強のプロ集団によるオンリーワングループ企業となる」をビジョンとしています。

沿革を見ると、1975年に東京都荒川区でディスプレイ業界向け床材工事会社として設立されたのが出発点です(現在の中核子会社・株式会社日商インターライフの前身)。1990年に日本証券業協会に株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所に上場、2010年10月に単独株式移転の方法でインターライフホールディングスを設立し持株会社体制に移行しました。2022年4月には東証スタンダード市場に移行しています。近年は事業ポートフォリオの入れ替えが活発で、2025年5月に設備・メンテナンス事業を担っていた玉紘工業株式会社の全株式を売却し、同年6月には同事業のファシリティーマネジメント株式会社を内装工事事業の株式会社日商インターライフに吸収合併しました。この結果、以前は3事業だった報告セグメントは内装工事事業と音響・照明設備事業の2事業体制に整理されています。

セグメント構成(2026年2月期実績)は、内装工事事業が売上高10,046百万円・セグメント利益653百万円、音響・照明設備事業が売上高6,265百万円・セグメント利益682百万円と、両事業がほぼ同水準の利益を稼ぐ構造になっています。内装工事事業は、下地工事などの請負いを担う専業工事部門と、元請けを担う商環境工事部門で構成され、都市部の再開発関連工事やオフィス・ホテル工事が収益の柱です。音響・照明設備事業は、ホテルなどの音響映像・演出照明・吊物機構・議場システムなどの企画・設計・施工・保守を手がけています。同社の主要株主であり不動産賃貸業を営む株式会社辰巳は、代表取締役会長CEOである庄司正英氏の資産管理会社で、その他の関係会社として位置付けられています。

2. 業績・財務情報

業績推移

決算期売上高営業利益経常利益親会社株主帰属純利益EPS自己資本比率ROE
2025年2月期169.4億円8.75億円8.75億円7.05億円45.43円44.7%18.0%
2026年2月期163.4億円11.66億円11.56億円8.28億円53.57円50.4%18.6%
2027年2月期(会社予想)170.0億円12.00億円11.90億円8.00億円52.45円――

※会社開示の「資本コストと株価を意識した経営の実績」表および決算短信の業績予想に基づく。2025年2月期は営業利益と経常利益がほぼ同水準(会社公表値)。

2026年2月期は、売上高163.4億円(前期比3.6%減)と減収でありながら、営業利益11.66億円(同33.3%増)、経常利益11.56億円(同32.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8.28億円(同17.4%増)と大幅増益を確保し、過去最高益を達成しました。 減収の主因は、事業ポートフォリオ再編に伴い設備・メンテナンス事業の売上(前期571百万円→当期24百万円)がほぼ消滅したことで、内装工事・音響照明の既存2事業だけで見ると、高採算の大型工事案件の完工などにより増収増益基調にあったことがうかがえます。

さらに、2027年2月期第1四半期(2026年3月~5月)は、売上高57.6億円(前年同期比15.8%増)、営業利益9.19億円(同72.4%増)、経常利益9.25億円(同76.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益6.04億円(同45.8%増)と、通期予想を大きく上回るペースで推移しています。 株式会社日商インターライフで前期から進行していた大型工事案件の完工が進んだことが主因です。ただし、会社側は中東情勢等に起因する資材価格上昇・資材不足のリスクを踏まえ、この第1四半期の好調を受けても2027年2月期の通期業績予想(売上高170.0億円、営業利益12.0億円)を修正せず維持しており、保守的な見通しを置いている点は留意が必要です。

セグメント別の実績(2025年2月期→2026年2月期、百万円)

セグメント売上高(25/2期)売上高(26/2期)利益(25/2期)利益(26/2期)
内装工事事業10,58510,046558653
音響・照明設備事業5,7846,265494682
設備・メンテナンス事業57124△37△14

※設備・メンテナンス事業は2025年の事業再編(玉紘工業の株式売却、ファシリティーマネジメントの吸収合併)により消滅。

財務指標とキャッシュフロー

自己資本比率は2026年2月期末で50.4%(前期44.7%から改善)、ROE(自己資本利益率=株主が出したお金に対してどれだけ効率よく利益を稼いだかを示す指標)は18.6%と高水準です。2027年2月期第1四半期末では自己資本比率49.5%となっています。

キャッシュフローを見ると、2026年2月期の営業活動によるキャッシュフローは22.3億円のプラス(前期4.8億円のプラス)と大きく増加しました。税金等調整前当期純利益の水準に加え、売上債権・契約資産の減少(+11.3億円)や棚卸資産の減少(+3.5億円)が資金増加要因です。投資活動によるキャッシュフローは1.1億円のマイナスにとどまり、有形固定資産の取得による支出はわずか0.35億円で、大規模な設備投資を必要としない事業モデルであることがうかがえます。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得(△2.0億円)や配当金の支払(△4.9億円)などにより10.1億円のマイナスとなりました。現金及び現金同等物の期末残高は25.98億円まで積み上がっています。

3. 成長戦略・将来性

同社は2026年2月期を初年度とする「第5次中期経営計画」(2026年2月期~2028年2月期)を推進しており、基本方針として「持続的な利益成長による企業価値向上を目指し、新たな成長ステージへの基盤を構築する」を掲げています。重点施策は、①新たな成長基盤の構築(新規領域の開拓、特許取得商材の販路拡大、M&Aへの投資)、②更なる収益力の向上(高採算の大型案件獲得、原価コントロール、生成AI活用によるDX推進)、③ESG経営の推進(人的資本投資、ガバナンス強化、資本コストと株価を意識した経営)の3本柱です。

数値目標は次のとおりです。

項目2026年2月期実績2027年2月期目標2031年2月期目標
売上高163.4億円170.0億円250.0億円
営業利益11.66億円12.0億円20.0億円
経常利益11.56億円11.9億円19.5億円
親会社株主帰属純利益8.28億円8.0億円13.0億円
営業利益率7.1%7.1%8.0%以上
ROE18.6%16.5%18.0%以上
PBR1.8倍1.9倍2.0倍以上

注目すべき点として、同社は中期経営計画の初年度である2026年2月期の経営目標を当初「営業利益800百万円」と設定していましたが、期中に建設需要が堅調に推移したことを受けて「営業利益1,100百万円」へ上方修正し、最終的な実績はこれをさらに上回る営業利益1,166百万円・ROE18.6%となりました。 会社側はこの結果を「中期経営計画最終年度目標を上回る実績」とも評価しており、初年度から計画を上振れさせるペースで進捗している点がうかがえます。これを踏まえ、2031年2月期を最終年度とする長期スローガン「NEXT STAGE 2030」では、売上高250億円・営業利益20億円という上積みした目標を新たに掲げています。

設備投資については、2026年2月期は「該当事項はありません」(設備投資等の概要)とされており、研究開発活動についても同様に該当事項なしとなっています。これは、施工を主業務とする同社のビジネスモデルが大規模な生産設備や研究開発投資を必要としない、労働集約型・アセットライトな構造であることを示しています。成長は主に工事の受注拡大とM&A・事業ポートフォリオの再編によって図られる方針で、2025年に実施した玉紘工業の株式譲渡とファシリティーマネジメントの吸収合併も、その一環と位置付けられます。

事業環境については、都市部の再開発需要やオフィス・ホテル向け内装需要は堅調に推移するとみられる一方、資材価格の高騰や人件費の増加によるコスト上昇、人員不足への対応、時間外労働の上限規制対応が課題として挙げられています。同業他社と比較した業界内での位置づけについては、他データとの比較が必要です。

4. 株主還元

配当方針としては、配当性向の目標を従来の40%から50%以上に引き上げ、安定配当を基本としています。2026年2月期の配当性向は56.0%(前期44.0%)に達しており、目標を上回る還元を実施しています。

決算期配当金配当性向
2023年2月期5.0円44.1%
2024年2月期8.0円32.2%
2025年2月期20.0円44.0%
2026年2月期30.0円56.0%
2027年2月期(予想)30.0円57.2%

過去5期で配当金は5円から30円へと6倍に拡大しており、明確な増配基調が続いています。2027年2月期は中間15円・期末15円(予想)で、前期と同額の年間30円を予定しています。

自己株式取得についても、2025年7月29日の取締役会決議(取得上限50万株・取得価額上限2億円)に基づき、2026年2月期中に416,400株・約2.0億円を取得しており、配当とあわせた株主還元に積極的な姿勢がうかがえます。なお、同社は業績連動型の株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」も導入しており、役員に給付する株式を信託を通じて確保する仕組みを取っています(詳細は次項)。

5. ガバナンス・リスク

同社は監査等委員会設置会社(取締役会に監査等委員という役割の取締役を置き、経営の監督機能を持たせる機関設計)を採用しています。2026年5月25日現在、取締役会は社内取締役7名・社外取締役3名(全員が監査等委員)の10名で構成され、社外取締役比率は約30%、女性取締役比率は10%(1名)です。取締役会は月1回開催され、2026年2月期は全13回、出席率は主要な取締役でいずれも100%でした。任意の諮問機関として「ガバナンス委員会」を設置し、取締役の指名・報酬・役位に関する事項を審議しています。

特徴的なガバナンストピックとして、2026年7月に業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」に関する臨時報告書が提出されています。 これは、役員の報酬と業績・株価との連動性を高め、株価上昇のメリットだけでなく下落リスクも株主と共有する目的の制度で、2026年7月に自己株式処分により23万株を追加で信託に拠出し、既存の信託内残存株式(51.91万株)と合わせて最大74.91万株を役員向けに給付する枠組みとなっています。役員報酬の一部が中長期の株価パフォーマンスに直結する設計は、経営陣と株主の利害を一致させる仕組みとして評価できる一方、株式による報酬給付は将来の希薄化要因になる点も踏まえておく必要があります。

政策保有株式(取引関係の維持などを目的に保有する株式)については、2026年2月期末で4銘柄・貸借対照表計上額7.08億円を保有しており、主な保有先は東京建物(3.46億円、オフィス改装工事等の取引関係)、乃村工藝社(2.07億円、相互の情報交換・事業推進目的)、住友不動産(1.06億円、音響・照明設備工事等の取引関係)、東武鉄道(0.50億円、工事関連の受注機会拡大目的)です。いずれも同社の受注先との関係維持を目的としたものであり、保有規模自体は総資産(92.7億円)に対して大きくありません。

リスク要因としては、有価証券報告書において(1)国内工事需要への売上依存度が極めて高く、景気悪化や地政学リスクによる原材料費高騰が受注機会を減少させる可能性、(2)建設業法など法的規制の遵守リスク、(3)施工物件の品質・安全性に関わる事故・瑕疵リスク、(4)M&Aに伴う減損損失や新規事業開拓の収益化リスク、(5)サイバーセキュリティ・情報管理リスク、(6)人材確保やハラスメント対策など人的資本に関するリスクが挙げられています。直近の第1四半期決算では「中東情勢等に起因する資材価格上昇や資材不足等による業績への影響は軽微」とされていますが、通期の業績予想を維持している背景にはこうした先行き不透明要因への警戒があると考えられます。

6. 株主構成・株価情報

2026年2月28日現在の所有者別状況では、個人その他が52.59%、その他の法人が36.64%を占めており、個人株主と事業法人が株主構成の主体となっています。大株主は次のとおりです。

株主名持株比率
㈱辰巳31.28%
㈱日本カストディ銀行 信託E口3.92%
インターライフホールディングス取引先持株会2.89%
㈱乃村工藝社2.80%
インターライフホールディングス社員持株会2.65%
東京建物㈱2.52%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 5051031.91%
及川 民司1.39%
インターライフホールディングス役員持株会1.35%
市岡 悦子1.12%

上位10名の合計は51.83%です。筆頭株主の株式会社辰巳(代表取締役会長CEO庄司正英氏の資産管理会社)が発行済株式(自己株式除く)の3割超を保有するオーナー色の強い株主構成であることが特徴です。なお、これとは別に自己株式1,133,680株(発行済株式総数の約6.7%)を保有しており、さらに株式給付信託(BBT)の信託財産として株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する62.29万株(2026年2月期末時点、連結財務諸表上は自己株式として処理)があります。

発行済株式総数は17,010,529株、単元株式数は100株です。株式分割等の直近の実施はありません。

現在の株価情報(2026年8月14日時点、Yahoo!ファイナンスのデータ)では、株価606円、時価総額約103億円、PER(会社予想EPS52.40円ベース)約11.6倍、PBR(実績BPS314.68円ベース)約1.9倍、配当利回り(会社予想)4.95%となっています。年初来では2026年1月14日の高値729円から下落し、同年3月23日の安値480円からは回復している値動きです。ROE18%台・増配基調という収益面の強さに対し、PERは11倍台と割安感のある水準にとどまっており、株式の売買が少ない小型株特有の流動性リスクや、事業ポートフォリオ再編を繰り返してきた実績への評価が、株価形成に影響している可能性があります。ただし業界内での相対的な位置づけについては他データとの比較が必要です。 株価情報は変動するため、最新の数値は証券会社のサイト等でご確認ください。

7. まとめ

インターライフホールディングス(1418)は、内装工事事業と音響・照明設備事業の2本柱に事業を再編し、2026年2月期に過去最高益を達成、2027年2月期第1四半期も前年同期比で大幅な増収増益となるなど、業績面での勢いが際立つ企業です。自己資本比率50%前後・ROE18%台という資本効率の高さに加え、配当性向を50%以上に引き上げ実績で56%まで還元を進めるなど、株主還元姿勢も積極化しています。一方で、通期の業績予想を第1四半期の好調にもかかわらず維持している点や、事業ポートフォリオの入れ替えを短期間で繰り返してきた経緯、国内工事需要への高い依存度は、成長の持続性や事業の安定性を評価する上で留意すべき点です。株価は業績の伸びに比べて割安感のある水準で推移しており、今後の四半期業績や中期経営計画の進捗、株式給付信託を通じた役員報酬制度の運用状況に注目していく必要があります。


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