太陽光発電施設や系統用蓄電所、ネットゼロ・エネルギー・ハウスを手がけるグリーンエナジー&カンパニー(証券コード1436)について、2026年4月期有価証券報告書および2027年4月期第1四半期決算短信をもとに、ファンダメンタルズ(企業の実力を示す基礎的な情報)を初心者向けに解説します。
1. 企業概要
株式会社グリーンエナジー&カンパニー(証券コード:1436、東京証券取引所グロース市場)は、徳島県板野郡松茂町に本店を置く再生可能エネルギー関連企業です。2009年に「株式会社スズケン&クリエーション」として設立され、建設・不動産分野からスタートし、その後太陽光発電施設の開発・販売へと事業を拡大、2016年3月に東京証券取引所マザーズ市場(現在のグロース市場)に上場しました。
同社は「新しい常識で、地球と人をグリーンにする。」というパーパスを掲げ、「太陽光発電設備・系統用蓄電所事業」と「ネットゼロ・エネルギー・ハウス事業」の2つの事業領域から構成される、単一セグメント(再生可能エネルギー事業)の会社です。 太陽光発電施設や系統用蓄電所、住宅などの開発・販売による「フロー収益」と、販売後の運用サービス(O&M・設備管理・アグリゲーションなど)や自社保有資産から得られる「ストック収益」の2本立てで収益を積み上げるビジネスモデルを採っています。
2024年5月には吸収分割により持株会社体制へ移行し、同年7月に長期ビジョン「サステナグロース2035」と中期経営計画「Green300」を策定しました。2029年4月期に売上高300億円・営業利益20億円を目指すとしています。
なお、代表取締役社長は創業者の鈴江崇文氏で、同氏への事業運営面での依存度が高い会社であることが有価証券報告書の事業リスクの項でも明記されています。
2. 業績・財務情報
2026年4月期(第18期)通期実績
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 116.17億円 | 183.58億円 | +58.0% |
| 営業利益 | ― | 11.92億円 | +119.3%(会社公表) |
| 経常利益 | 4.08億円 | 10.30億円 | +152.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.76億円 | 5.00億円 | +81.6% |
| 自己資本比率 | 39.0% | 34.3% | ▲4.7pt |
| ROE(自己資本利益率) | 5.3% | 9.1% | +3.8pt |
※ROE(自己資本利益率)とは、株主が出資したお金(自己資本)を使ってどれだけ効率よく利益を生み出したかを示す指標です。数値が高いほど資本効率が良いとされます。
2026年4月期は、太陽光発電設備・系統用蓄電所事業の販売区画数191.67区画、系統用蓄電所5件の販売に加え、ネットゼロ・エネルギー・ハウス事業の販売棟数262棟という実績のもと、売上高・利益ともに大幅な伸びとなりました。特別損失として投資有価証券売却損2.93億円を計上したものの、本業の稼ぐ力を示す経常利益は前期比+152.3%という大きな伸びを記録しています。
キャッシュ・フローの面では、営業活動によるキャッシュ・フローが13.19億円のプラス(前期は9.61億円のマイナス)に転換しており、棚卸資産の圧縮などが寄与しました。
2027年4月期第1四半期(2026年5月〜7月)
| 項目 | 前年同四半期 | 当第1四半期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 28.08億円 | 47.72億円 | +69.9% |
| 営業利益 | 0.06億円 | 5.10億円 | +8,742% |
| 経常利益 | △0.07億円(損失) | 4.84億円 | 黒字転換 |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | △0.10億円(損失) | 2.96億円 | 黒字転換 |
前年同四半期は経常損失・純損失を計上していましたが、当第1四半期は大幅な黒字に転換しました。これを受けて会社側は通期業績予想を上方修正しており、2027年4月期通期は売上高215.00億円(前期比+17.1%)、営業利益17.40億円(+46.0%)、経常利益15.50億円(+50.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益9.60億円(+91.9%)を見込んでいます。
一方で、財政状態には変化が生じています。第1四半期末の自己資本比率は28.3%となり、2026年4月期末の34.3%からさらに低下しました。 主な要因は、前渡金・仕掛品(開発中の発電施設・住宅など)の積み増しに伴う短期借入金の増加(34.4億円増)です。事業拡大に向けた在庫投資が先行し、それを借入で賄っている状態であり、成長投資局面としては自然な動きですが、財務レバレッジ(借入への依存度)が高まっている点は留意が必要です。
なお、2026年5月1日付で普通株式1株につき3株の株式分割を実施しており、上記の1株当たり指標や株式数は分割後ベースで比較可能な形に調整されています。
3. 成長戦略・将来性
同社の成長ドライバーは、長期ビジョン「サステナグロース2035」と中期経営計画「Green300」に集約されます。国内の再生可能エネルギー市場は、政府の「グリーン成長戦略」や「GX実現に向けた基本方針」などの後押しを受けて拡大が続いており、特に以下の2つの追い風が事業環境として挙げられています。
1つ目は、企業の自家消費型太陽光発電やコーポレートPPA(電力購入契約)への関心の高まりです。中小企業経営強化税制における即時償却・税額控除などの特例措置もあり、法人顧客の投資回収期間短縮ニーズが高まっていると説明されています。
2つ目は、系統用蓄電池(電力系統に接続する大型蓄電設備)への需要拡大です。再エネ導入の進展に伴い、出力制御(電力が余ったときに発電を止める措置)の発生頻度が高まっており、余剰電力を吸収・調整する蓄電池の役割が重要性を増しています。同社は「最大の成長軸」としてこの系統用蓄電池事業への経営資源集中を進めており、2026年6月には系統用蓄電所を運営する合同会社CCを2百万円で完全子会社化するなど、M&Aによる資産積み増しも実施しています。
なお、系統用蓄電池は市場としての将来性が期待される一方、業界内における同社の位置づけについては、他の再エネ関連企業との比較データが必要であり、本レポート単独では評価できない点にご留意ください。
4. 株主還元
配当政策については、「配当性向15%程度を目途とした累進配当(減配せず、業績に応じて増配していく方針)」を基本方針としています。
2026年4月期の配当は、株式分割前ベースで1株あたり15円(期末配当のみ)を予定しており、これを筆者が連結ベースの配当性向として計算すると約12.4%となり、会社の目標水準にほぼ沿った実績といえます。
2027年4月期の配当予想は、株式分割後ベースで期末6円(中間配当なし)です。株式分割(1株を3株に)を考慮して単純比較すると、分割前の15円は分割後の1株あたり5円に相当するため、実質的な1株あたり配当額は5円から6円へ、約20%増加する計算になります。株式分割後の見た目の金額だけで「減配」と誤解しないよう注意が必要な点です。
なお、同社は株主優待制度も設けており、900株以上を1年以上継続保有する株主を対象に、年2回合計30,000円分のデジタルギフト(QUOカードPayなど)を進呈しています。
5. ガバナンス・リスク
同社は監査等委員会設置会社の体制を採用しています。取締役会は、業務執行を担う取締役(代表取締役社長 鈴江崇文氏、社外取締役 山中哲男氏)2名と、監査等委員である社外取締役3名(三谷恭也氏、山田善則氏、飯田花織氏)の合計5名で構成されており、取締役の半数を社外取締役とすることで監督機能の強化を図っています。2026年4月期の取締役会は年15回開催され、出席率は全取締役とも93%以上(14/15または15/15)でした。
事業等のリスクとして有価証券報告書が挙げている主な項目には、①GX発電施設工事の遅延(自然災害等による系統連系の遅れが売上計上時期に影響)、②個人消費動向の影響(主要顧客が個人であるため景気・金利動向の影響を受けやすい)、③政府施策(FIT制度改正など)の変更、④資材価格の高騰、⑤外注管理(施工の多くを外注に依存)、⑥住宅の契約不適合責任、⑦代表者への依存、などがあります。
このうち特に注目すべきは「代表者への依存」です。有価証券報告書には「当社グループは会社の規模が小さく、事業活動における主要な部分を代表取締役社長である鈴江崇文に依存しております」と明記されており、同氏が離職した場合の事業への影響が事業リスクとして開示されています。
また、後述する株主構成の通り、創業者およびその資産管理会社が過半数超の議決権を保有するオーナー経営企業である点も、意思決定の迅速さという利点がある一方、ガバナンス上は少数株主の意見が反映されにくいリスクとして意識しておく必要があります。
6. 株主構成・株価情報
2026年4月30日現在の大株主は以下のとおりです(自己株式を除く発行済株式数に対する割合)。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社エフピーライフ | 58.70% |
| 鈴江 崇文(代表取締役社長) | 10.32% |
| 日本証券金融株式会社 | 2.18% |
| TOFU合同会社 | 2.10% |
| 上位10名合計 | 76.19% |
株式会社エフピーライフは、金融商品取引法第24条の7第1項に規定される当社の「親会社等」として有価証券報告書に明記されている会社であり、代表取締役社長である鈴江崇文氏の資産管理会社とみられます。同社と鈴江氏本人の保有分を合わせると、議決権の約69.0%を創業者関連で占める計算になり、極めて集中度の高い株主構成といえます。この点は、経営の一貫性・スピード感というメリットの裏側で、株式の流動性や少数株主保護の観点からは留意すべきポイントです。
株価情報(2026年9月9日10:30時点、Yahoo!ファイナンスより)は以下のとおりです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 1,784円 |
| 時価総額 | 約229億円 |
| PER(会社予想ベース) | 22.98倍 |
| PBR(実績ベース) | 3.79倍 |
| 配当利回り(会社予想ベース) | 0.34% |
| ROE(実績) | 9.11% |
| 自己資本比率 | 34.4% |
※PER(株価収益率)は株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標、PBR(株価純資産倍率)は株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標です。いずれも数値が高いほど、将来の成長期待などが株価に織り込まれていると解釈されます。
PBR3.79倍という水準は、同社の高い成長率(通期売上高予想+17.1%、経常利益予想+50.5%)への期待が反映されているとみられますが、業界内での相対的な位置づけについては他の再エネ関連企業との比較データが必要です。
7. まとめ
グリーンエナジー&カンパニー(1436)は、太陽光発電施設や系統用蓄電所、ネットゼロ・エネルギー・ハウスを手がける再生可能エネルギー企業であり、2026年4月期は売上高・利益ともに大幅な増収増益を達成しました。続く2027年4月期第1四半期も前年同期の赤字から大幅な黒字転換となり、通期業績予想も上方修正されています。政府の脱炭素化推進やGX投資の加速、系統用蓄電池需要の拡大といった追い風を受けて、成長投資を積極化している局面といえます。
一方で、事業拡大に伴う仕掛品・前渡金の増加を借入で賄っていることによる自己資本比率の低下(2026年4月期末34.3%→2027年4月期第1四半期末28.3%)や、創業者とその資産管理会社で議決権の約69%を占める株式集中、代表者個人への高い事業依存度など、成長性の裏側にあるリスク要因についても認識しておくことが重要です。